歯ぐきのケアをしないと 40代からは歯周病に注意!

歯周病菌が「動脈硬化」「血栓」の一因に

歯周病が動脈硬化を引き起こす!?

 「動脈硬化」は、血管壁が厚く硬くなって血管の内側が狭くなり、血流が悪くなる病気です。重症化すると血管が詰まってしまうこともあります。動脈硬化の原因には、運動不足や食べ過ぎ、喫煙、ストレスなどの生活習慣が挙げられますが、最近では歯周病菌も危険因子の一つと考えられるようになりました。動脈硬化を起こしている血管の細胞から、歯周病菌が検出されているのです。

動脈硬化を起こしている血管の細胞から、歯周病菌を検出!

歯周病菌感染マウスの方が動脈硬化の形成が早い

歯周病の動脈硬化への関与を調べるために実験*1も行われています。人工的に動脈硬化を起こしやすくしたマウスに、高脂質のエサを与えただけの場合と、それに加えて歯周病菌*2を感染させた場合の比較です。その結果、歯周病菌感染マウスの方が動脈硬化の形成が早いことが確認されています。

そのメカニズムとしては、炎症を起こした歯ぐきから歯周病菌が血液中に流れ込むことで免疫を担当する細胞が活性化し、それによって動脈硬化の状態が作られるということが考えられます。また、歯周病菌の一つ*2には血栓を形成する作用があることが知られています。

*1 Lalla E, et al. Oral infection with a periodontal pathogen accelerates early atherosclerosis in apolipoprotein E-null mice. Arterioscler Thromb Vasc Biol, 23: 1405, 2003.

*2 P.gingivalis、歯周病菌の一つ

「歯周病と動脈硬化」に関する実験

歯周病が、狭心症・心筋梗塞、
脳梗塞のリスクを高める!

日本人の死亡原因の第2位は心臓の病気、第3位は脳の血管の病気で、その多くが虚心性心臓病(狭心症・心筋梗塞)、脳梗塞です。基本的に、狭心症と心筋梗塞は心臓の冠動脈、脳梗塞は脳の動脈が硬化することで起こります。つまり、これらの病気を防ぐ方法は、動脈硬化の予防・進行の抑制ということです。

さまざまな研究によって、動脈硬化の一因が歯周病であると示唆されています。また、ある調査では歯周病患者で冠動脈のバイパス手術を受けた人の4人に1人の血管壁から歯周病菌が見つかっているのです。こういったことから、歯周病を防ぐことも、狭心症・心筋梗塞、脳梗塞の予防につながると考えられています。実際に、集中的な歯周病治療で血管の細胞に機能回復が見られたという報告もあります。

狭心症、心筋梗塞とは?

動脈硬化を起こした心臓の血管壁から、歯周病菌が見つかった人の割合

歯周病菌と脳卒中の関連性についての研究New

歯周病菌と動脈硬化・脳卒中の関係

歯周炎は、動脈硬化性心血管疾患と虚血性脳卒中の発症リスクを増大させます。また、最近のより大規模な症例対照研究において、歯周炎の重症度と脳卒中リスクとの間に段階的な関連性があることも確認されました。こういったことを背景に、細見直永先生(広島大学)他が、各歯周病原菌に対する血清中抗体濃度と、脳卒中の危険因子との関連を研究・評価したところ、歯周炎が動脈硬化・脳卒中を引き起こす可能性が示されました。

歯周病菌はさまざまな影響を与えます。

3大歯周病菌*に対する血清中抗体濃度が有意に高値を示した背景特性(危険因子)

* Aggregatibacter actinomycetemcomitans (Aa)、Porphyromonas gingivalis (Pg)、Prevotella intermedia(Pi)

抗体の濃度が有意に高値を示したのは下記の患者でした。

血清中抗Aa抗体歯周病菌Aaに対する抗体

脂質異常症がない患者よりも脂質異常症がある患者

血清中抗Pg抗体歯周病菌Pgに対する抗体

女性よりも男性

飲酒習慣がない患者よりもある患者

心房細動がない患者よりもある患者

血清中抗Pi抗体歯周病菌Piに対する抗体

女性よりも男性

脂質異常症がない患者よりもある患者

心房細動がない患者よりもある患者

頸動脈球/ICAのアテローム性動脈硬化がない患者よりもある患者

研究結果

試験の結果から、抗Pg抗体は心房細動と、抗Pi抗体は頸動脈アテローム性動脈硬化と、それぞれ関連を示すことが示唆されました。また、抗Pi抗体は、頸動脈アテローム性動脈硬化との関連を介して、アテローム血栓性脳梗塞との関係を示す可能性も示唆されました。こういったことから、歯周炎は重篤な全身疾患を引き起こす可能性があると考えられます。

血清抗歯周病原体抗体レベル

研究方法:急性虚血性脳卒中患者132名(男性74名、女性58名、71.3±9.5歳)、脳卒中の既往がない患者77名(男性38名、女性39名、70.7±9.5歳)から血清検体を採取し、各歯周病原菌に対する血清中抗体濃度と、虚血性脳卒中の各病型およびその危険因子との間に有意な関連が見られるかどうかを評価。

出典:Naohisa Hosomi, et al. Association of Serum Anti-Periodontal Pathogen Antibody with Ischemic Stroke. Cerebrovasc Dis 2012;34:385-392

歯周病菌で「非アルコール性脂肪性肝炎」が悪化! >

脳神経内科のエキスパートからのメッセージ


細見 直永 (ほそみ なおひさ) 先生

歯周病の脳卒中発症に及ぼす影響に関して 複数の試験を統合した解析の結果から歯周病と歯牙欠損は脳卒中のリスクであることが示されています。さらに、抜歯のみでなくブラッシングでも菌血症を起こしていることが報告されています。このように脳梗塞の新たな危険因子として歯周病の関与が解明されつつあります。しかしながら現時点で、歯周病治療による脳卒中発症予防効果はまだ明らかになっておらず、今後、医科歯科連携に基づきその予防効果を検討する必要があると考えています。

細見 直永 (ほそみ なおひさ) 先生

広島大学大学病院 脳神経内科 診療准教授

医学博士(香川医科大学) 。広島大学大学院脳神経内科学助教を経て現職。専門は脳神経内科。 論文・出版物:脳卒中診療こんなときどうするQ&A、脳卒中データバンク2005、脳卒中データバンク2009、虚血性脳卒中:診断と治療の進歩「急性期抗血栓療法」(内科学会誌)、脳血管障害を合併した高血圧(循環器研修ノート)

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